63話「4時02分の銃声」BUTTERFLY IN SHADES OF GREY

米国初放送:1994.1.10
NTV初放送:1998.10.16
ピーター・フォークの年齢:66歳
ゲストスター:ウィリアム・シャトナー(役名:フィールディング・チェイスさん。政治アナリスト。声:矢島正明はカーク船長とおんなじ)。

犯人へのコロンボの呼び方は「チェイスさん」。シャトナーちゅうたら、あたしはイコール、カーク船長なわけだが、カークが、あ、いや、シャトナーが犯人役であるこの回を見て、俳優としての彼の印象が、いい意味で大きく変わった。シャトナーが演ずる犯人は、ラジオの芸能人で、評論家きどりで、大金持ちで、権力風ふきまわす、とにかくイヤなやつである。見ていて、ヘドがでた。おまえが死ねばいいのに。番組冒頭、シャトナーが登場したばかりの段階、まだ犯行を実行していない時点で、

コロンボ、早く来て、こいつやっつけてよ!」 と叫んでいたぐらいさ。

シャトナーは、カーク船長の印象が強く、正義漢の役が多いのだが、実は、こうしたココロから悪漢なかたき役のほうが、似合うのではないかと思った。欲のカワがつっぱったツラ。満面にたたえた欺瞞。虚飾でふくらんだハラ。継娘にいだく、ヨコシマな欲望。オー、キモい。劇中でも犯人チェイスさんは、みんなに嫌われているが、視聴者であるあたしも、ひとめで大嫌いになれるやつなんだ。こんなに嫌悪感をいだいたコロンボの犯人像は、あたしがこれまで見た中には、いなかった。つまりはシャトナー名演技で、その点はすばらしかった。