ピーター・フォークさん永眠 我らがコロンボ刑事、ありがとう!

虫が、知らせたのだろうか。

このサイトは、もとから、気まぐれな更新しか、してこなかった。

それが、2011年6月23日、休日の朝、あたしは、とつぜん、無性に、「溶ける糸」が見たくなり、デアゴスティーニで全45話そろえてあるDVDから取り出し、見ていたのだ。

そして、連日で、二つ、記事を更新した。

「もう一つの鍵」と、

「死の方程式」と。

「死の方程式」の記事を更新したのが、6月25日の朝だ。書いてから、仕事に出た。

お昼の休憩時間に、携帯からニュースを見て、知った。

我らが、コロンボ刑事が、ピーター・フォークさんが、お亡くなりになったことを。

享年、83歳。

正直なところ、そろそろだろうか、と、覚悟はしていた。

彼が病気であったことも、耳にしていた。最初のかみさんとの間に子供ができず、養女をもらったことも、本で読んで、知っていた。二番目のかみさん、シェラ・デニスは、コロンボシリーズでもおなじみの女優で、あたしは彼女のことも、好きだった。

「だった。」と、過去形で書くのは、よくないよな。あたしが生まれる前に、もう「刑事コロンボ」の放送は、はじまっていた。今も、これからも、コロンボは不滅だ。あたしは、もったいなくて、DVDのぜんぶを、まだ見ないでとってあるんだ。

ドラマの冒頭から、犯人さんが登場し、殺人を犯す。そして後からゆっくり、ゆっくり、飄々とした体で、刑事さんが、現れる…

「すみませ〜ん、コーヒーないですかあ?」

そして、ラストまで、息をもつかせず、たたみかける、刑事さんの推理。コロンボ刑事、対、犯人の闘い!劇中では、俳優、ピーター・フォーク対、ゲストスターとの、演技力の闘い!

この、倒叙式ミステリードラマの金字塔、おお、我らが、「刑事コロンボ」よ!

刑事コロンボ」は、当時の米国テレビドラマとしては、異例の予算と時間を投じて作られた。

番組の主演俳優であり、指揮権を握ったピーター・フォークが、ゲストスターに対して、予算や撮影期間をまったくケチらず、こう言っていた。

「あんたの、納得のいくまで、何回でも、やってみてくれ。」

刑事コロンボ」で、犯人=主人公を演じた俳優は、役者としての格が、必ず上がる。アメリカの俳優たちは、競って、「刑事コロンボ」に出演したいと願った。

そして完成した、このシリーズは、米国のみならず、ドイツやフランスやイタリアや、世界中で、大ヒットした。我が国、日本では、小池朝雄さんの独特の言い回しと、稀代の吹替え演出家、左近允洋(さこんのじょう ひろし)さんによる、日本人向けなコロンボ像の構築により、不動の人気を博している。

今日も、明日も、あさっても。

あたしは、コロンボ以外の、俳優・ピーター・フォークにも、恋をしていた。

ピーター・フォークの盟友、ジョン・カサヴェテス監督作品、「こわれゆく女」で、狂気の妻を、深く愛する夫を演じた、彼にも、魅了された。

パロディ作品、「名探偵登場」には、手をたたいて、笑った。

まだ、他にも、あたしには、未見の、ピーター・フォーク作品が、いっぱい、いっぱい、ある…見たい。もっと、見たい。見よう。

刑事コロンボ」DVDは、どのエピソードも、何回見ても、ぜんぜん、飽きない。なぜって、一作一作が、丁寧に、一生懸命に、作られているからだ。なぜって、ピーター・フォークが、市井の民の、善性のお手本を、演じきってくれているからだ。

なんて、幸せなんだろう、あたしたち、ピーター・フォークのファンは。

ありがとう、ピーター・フォーク。あたしたちに、幸せをくれて。

ありがとう、ルテナント・コロンボ。あたしたちに、幸せとはなにか、を、教えてくれて。

「うちのかみさんがね…」